(2021年1月30日作成)
近鉄名阪特急は大阪難波、上本町から名古屋までを運行する近鉄特急列車です。
古くからエース級の車両で運行をしていて、現在はアーバンライナーとひのとりでの運行が主になっています。
鶴橋から名古屋間は津のみ停車する速達型列車と途中主要駅に停車する停車型の2種類の特急があります。
ここでは近鉄名阪特急の車内や座席、車内設備、競合交通機関などを解説していきます。
近鉄名阪特急の車両と編成
近鉄名阪特急の使用車両
近鉄名阪特急の使用車両は次の通りです。
速達型(甲特急、上本町、鶴橋、(大和八木)、津に停車):ひのとり
停車型(乙特急):アーバンライナー
速達型の甲特急に使用される80000系「ひのとり」です。
2020年度中に速達型の特急はすべて「ひのとり」で運行する予定です。

停車型の名阪特急の主力、21000系「アーバンライナー」です。

編成
ひのとり、アーバンライナーは6両編成、8両編成です。
近鉄名阪特急の車内
ひのとり
主に速達型の列車で運行する「ひのとり」です。
近鉄特急「ひのとり」を詳細に解説したページはこちらをご覧ください。

プレミアム車両の車内
ベージュの本革シートが1+2列の3列で並んでいます。
床は車体と同じレッドで車内に質感と高級感を与えています。
窓が手すりの下まであり非常に大きい窓で開放感があります。
プレミアム車両には横揺れを提言するフルアクティブサスペンションが設置されています。

プレミアム車両の座席にはしまかぜと同じく電動のリクライニングやレッグレストがついています。
リズムマッサージはありませんが、ヒーターがついています。

プレミアムシートの前後感覚は130㎝あります。

レギュラー車両
2号車から5号車(8両編成は2号車から7号車)はレギュラー車両です。
レギュラーカーの座席は通路を挟んで2列ずつの4列です。

レギュラー車両のシートもバックシェルで後ろの方も気になりません。
またレギュラーシートも座席の感覚は116㎝です。
これは新幹線のグリーン車に匹敵する広さです。

レギュラーシートにおいてもコンセントは全席に設置されています。
また、パソコンの作業にも便利な大型テーブルが設置されています。

お手洗い、トイレ等
1,6号車(8両編成は1,4,8号車)にお手洗い、トイレがあります。
4号車(8両編成は6号車)には多目的お手洗い、多目的トイレがあります。
男性用お手洗い以外には温水洗浄便座、ベビーチェアを設置しています。

多目的お手洗いには加えて次の設備が設置されます。
・着替えが可能なチェンジングボード
・ベビーベッド
・オストメイト対応設備


その他のお手洗いにも温水洗浄便座やベビーキープが設置されています。


洗面台は大理石風で落ち着いたデザインです。

喫煙室
ひのとりは全席禁煙です。
喫煙室は3号車に設置されています。

ロッカー
1~3、5,6号車(8両編成には1~3,7,8号車)にはエントランスににロッカーが設けられます。
ロッカーは大型の荷物も入れられるサイズです。


カフェスポットと自動販売機
1号車と6号車(8両編成は1号車と8号車)にはカフェスポットが設置されます。

3号車には飲み物の自動販売機があります。

その他の設備
・無料Wi-Fiの提供
・全客室に空気清浄機「ナノイー」を設置
・客室、デッキ、荷物置きスペースに防犯カメラを設置
ひのとりの詳細解説
近鉄特急「ひのとり」を詳細に解説したページはこちらもご覧ください。
アーバンライナー
主に停車型の名阪特急で運行する「アーバンライナー」です。
近鉄特急「アーバンライナー」の詳細については次のページもご覧ください。

デラックスカー
1号車はデラックスカーです。

デラックスカーは濃い赤色の落ち着いた色調の座席です。
1列+2列の3列でゆったりしています。

デラックスシートもゆりかご式シートですが電動で動作します。
スイッチの操作で好きな位置にリクライニングをとめることができます。

小さいながらテーブルがあります。

座席のひじ掛け内側にはリクライニングと読書灯のスイッチがあります。
読書灯は左側の肩付近にあります。


フットレスト横にコンセントがあります。

レギュラーカー
2号車から6号車はレギュラーカーです。
レギュラーカーの座席は通路を挟んで2列ずつの4列です。

レギュラーシートはグレー系の落ち着いた座席です。
座席はゆりかご式シートでリクライニングをすると角度に応じて座席の後ろが沈み込みます。
より体が包まれているような感じで心地よいです。

お手洗い
アーバンライナーには2号車、4号車、5号車にお手洗いがあります。
すべて洋式のお手洗いでウォシュレットもついていて快適です。
5号車のお手洗いはバリアフリー対応になっています。

おむつ取り換えの台やベビーチェアもついていますのでお子様も安心です。

洗面台です。

先頭デッキから運転席や迫力ある展望が見える
先頭車のデッキ部分は運転席がガラス張りになっているので、前面が展望できます。
さっそうと過ぎ行く景色や迫りくる反対方向の列車など迫力ある景色が見えます。
乗車中のちょっとした息抜きに、またお子様はとても喜ぶでしょう。

喫煙室
アーバンライナーは全席禁煙です。
タバコは3号車と6号車の喫煙室で吸うことになります。

自動販売機
アーバンライナーには3号車にソフトドリンクの自動販売機があります。

アーバンライナーの解説ページ
近鉄特急「アーバンライナー」を詳細に解説したページはこちらもご覧ください。
近鉄名阪特急の停車駅や所要時間と運行間隔など
近鉄名阪特急の停車駅
近鉄名阪特急の停車駅は次の通りです。
速達型(甲特急、ひのとり)の停車駅
大阪難波=大阪上本町=鶴橋=◎大和八木=津=(白子)=(近鉄四日市)=(桑名)=近鉄名古屋
(◎大和八木には朝晩の一部列車が停車、白子・近鉄四日市・桑名は土休日の621列車のみが停車))
停車型(乙特急、アーバンライナー)の停車駅
大阪難波=大阪上本町=鶴橋=大和八木=名張=(伊賀神戸)=(桔梗が丘)=津=白子=近鉄四日市=桑名=近鉄名古屋
伊賀神戸には早朝、夜の大阪方面行きと早朝の名古屋行きが停車
桔梗が丘には早朝の大阪方面行きが停車
近鉄名阪特急の所要時間
速達型(甲特急、ひのとり)の所要時間
所要時間 | |
大阪難波~津 | 約1時間20分~1時間30分 |
大阪難波~近鉄名古屋 | 約2時間5分~2時間15分 |
停車型(乙特急、アーバンライナー)の所要時間
所要時間 | |
大阪難波~大和八木 | 約30分~35分 |
大阪難波~名張 | 約50分~1時間 |
大阪難波~津 | 約1時間30分~1時間40分 |
大阪難波~四日市 | 約1時間50分~2時間 |
大阪難波~桑名 | 約2時間~2時間10分 |
大阪難波~近鉄名古屋 | 約2時間20分~2時間30分 |
近鉄名阪特急の運行間隔
速達型(甲特急、ひのとり)は7時台~21時台まで1時間間隔で運転。
停車型(乙特急、アーバンライナー)は6時台~21時台まで1時間間隔で運転してます。
近鉄特急の時刻や所要時間については次のページもご覧ください。
近鉄名阪特急の運賃、料金等
運賃と特急料金、特別車両料金を含んだ価格を示します。
(上段:ひのとりレギュラーシート料金含む、下段:ひのとりプレミアムシート料金含む)
大阪難波 | 1,260円
1,460円 |
ー | 3,260円
3,660円 |
3,890円
4,490円 |
4,540円
5,240円 |
1,160円
1,370円 |
大和八木 | ー | 2,830円
3,230円 |
3,130円
3,530円 |
3,890円
4,490円 |
1,940円
2,150円 |
1,090円
1,300円 |
名張 | ー | ー | ー |
3,060円
3,380円 |
2,630円
2,950円 |
1,760円
1,970円 |
津 | 1,120円
1,320円 |
2,040円
2,340円 |
3,690円
4,110円 |
2,930円
3,250円 |
2,560円
2,880円 |
1,020円
1,230円 |
近鉄四日市 | 1,260円
1,460円 |
4,340円
4,860円 |
3,690円
4,110円 |
3,060円
3,380円 |
1,940円
2,150円 |
1,160円
1,370円 |
近鉄名古屋 |
(上段:通常車両特急料金、下段:アーバンライナーデラックスシート料金含む)
近鉄名阪特急にお得に乗車するには
近鉄特急ネット予約でチケットレス特急券購入
近鉄特急によく乗る場合はネット予約でチケットレス乗車券購入がお得です。
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チケットレスでしかポイントがもらえないので注意してください。
詳しくは下記の近鉄HPのリンクをご覧ください。
近鉄名阪特急と競合する交通機関の比較
名阪特急と競合する交通機関の比較を行います。
新幹線やJR在来線、高速バスなどが比較対象です。
大阪(梅田)~名古屋、大阪難波~名古屋、大阪難波~津で比較します。
大阪(梅田)~名古屋の交通機関の比較
運賃 | 所要時間 | 運行本数、備考 | |
近鉄特急 | 4,570円 | 約2時間20分~2時間45分 | 30分間隔
なんば~梅田は御堂筋線利用 |
新幹線(のぞみ) | 5,680円~6,680円 | 約1時間 | のぞみは4本~12本
大阪~新大阪は在来線 |
JR新快速、快速 | 3,410円 | 約2時間25分~2時間45分 | 30分間隔 |
近鉄急行 | 2,640円 | 約3時間55分~4時間15分 | 60分間隔
なんば~梅田は御堂筋線利用 |
高速バス | 1,500円~4,000円 | 約2時間50分~2時間56分 | 1日26往復 |
大阪難波~名古屋の交通機関の比較
運賃 | 所要時間 | 運行本数、備考 | |
近鉄特急 | 4,340円 | 約2時間5分~2時間30分 | 30分間隔 |
新幹線(のぞみ) | 5,960円~6,960円 | 約1時間20分 | のぞみは4本~12本
なんば~新大阪は御堂筋線利用 |
JR新快速、快速 | 3,730円 | 約2時間40分~2時間30分 | 30分間隔
なんば~梅田は御堂筋線利用 |
近鉄急行 | 2,410円 | 約3時間40分~4時間 | 60分間隔 |
高速バス | 1,730円~4,230円 | 約3時間05分~3時間11分 | 1日26往復
なんば~梅田は御堂筋線利用 |
大阪難波~津の交通機関の比較
運賃 | 所要時間 | 運行本数、備考 | |
近鉄特急 | 3,060円 | 約1時間20分~1時間40分 | 30分間隔 |
近鉄急行 | 1,720円 | 約3時間20分~3時間40分 | 60分間隔 |
交通機関の各区間の解説
東海道新幹線
東海道新幹線の新大阪~名古屋間をのぞみ利用した場合の所要時間は次の通りです。
運賃・料金 | 所要時間 | 備考 | |
大阪(梅田)~名古屋 | 5,680円~6,680円 | 約1時間 | 大阪~新大阪は在来線 |
大阪難波~名古屋 | 5,960円~6,960円 | 約1時間20分 | なんば~新大阪は御堂筋線利用 |
大阪~名古屋間はエクスプレス予約でe特急券(特急券のみ)を利用すると、5,680円となります。乗車券は別途購入すると利用できます。
大阪難波~名古屋はなんば~新大阪のOsakaMetro御堂筋線の運賃(280円)を含みます。
のぞみ号は昼間時間帯は1時間に4本、ラッシュ時は1時間に最大12本運行しています。
JR新快速、快速乗継
JR大阪駅から在来線の新快速、快速を乗り継いで名古屋に行くこともできます。
米原、大垣で乗り換えます。(ラッシュ時は名古屋方面から米原に直通のため、大垣で乗り換えは不要)
運賃・料金 | 所要時間 | 運行本数 | |
大阪(梅田)~名古屋 | 3,410円 | 約2時間25分~2時間45分 | |
大阪難波~名古屋 | 3,730円 | 約2時間40分~2時間30分 | なんば~梅田は御堂筋線利用 |
大阪難波~名古屋はなんば~梅田のOsakaMetro御堂筋線の運賃(230円)を含みます。
運行間隔はおおむね30分間隔です。
近鉄急行
近鉄大阪線急行と近鉄名古屋線急行を乗り継いで津や近鉄名古屋に行くこともできます。
伊勢中川で乗り換えが必要です。
近鉄急行には運賃のみで乗車できます。
運賃・料金 | 所要時間 | 運行本数 | |
大阪(梅田)~名古屋 | 2,640円 | 約3時間55分~4時間15分 | なんば~梅田は御堂筋線利用 |
大阪(梅田)~津 | 1,950円 | 約3時間35分~3時間55分 | なんば~梅田は御堂筋線利用 |
大阪難波~名古屋 | 2,410円 | 約3時間40分~4時間 | |
大阪難波~津 | 1,720円 | 約3時間20分~3時間40分 |
大阪難波~名古屋はなんば~梅田のOsakaMetro御堂筋線の運賃(230円)を含みます。
大阪方面からは宇治山田行き、五十鈴川行きに乗車し、伊勢中川で乗り換えます。
大阪方面から伊勢中川まで運行する急行は1時間に1本のため乗継には注意が必要です。
名古屋駅から昼間時間帯は毎時20分前後の急行が伊勢中川で大阪方面の急行に接続します。
近鉄大阪線急行(快速急行)の停車駅は次の通りです。
大阪線急行
大阪上本町=鶴橋=布施=河内国分=五位堂=大和高田=大和八木=桜井=(各駅停車)=榊原温泉口=伊勢中川=松阪=伊勢市=宇治山田=五十鈴川=朝熊=池の浦=鳥羽
大阪線快速急行(主に朝の上本町方面、夕方の伊勢方面で運行)
大阪上本町=鶴橋=五位堂=大和高田=大和八木=桜井=榛原=室生口大野=赤目口=名張=桔梗が丘=美旗=伊賀神戸=青山町=榊原温泉口=伊勢中川=松阪=伊勢市=宇治山田=五十鈴川=朝熊=池の浦=鳥羽
近鉄名古屋線急行の停車駅は次の通りです。
近鉄名古屋=近鉄蟹江=近鉄弥富=桑名=近鉄富田=近鉄四日市=塩浜=伊勢若松=白子=江戸橋=津=津新町=南ヶ丘=久居=桃園=伊勢中川=松阪=(宮町)=伊勢市=宇治山田=五十鈴川=朝熊=池の浦=鳥羽
高速バス
大阪~名古屋間の高速バスは名神ハイウェイバス大阪号、名古屋特急ニュースター号があります。
名神ハイウェイバス大阪号
名神ハイウェイバス大阪号はJR東海バス、西日本JRバス、名阪近鉄バスが共同運行する高速バスです。
所要時間は次の通りです。
大阪駅高速バスターミナル~名古屋駅(新幹線口):約2時間53分~2時間56分
このほかにも千里ニュータウン、京都深草にも停車します。
USJやJRなんば(湊町バスターミナル)にも停車する便があります。
運行本数は1日14往復です。
約60~90分間隔です。
運賃は次の通りです
大阪駅高速バスターミナル~名古屋駅(新幹線口):3,060円
往復券で4,840円(片道2,420円)、早得1で1,900円、早値早得で1,500円まで安くなる場合があります。
名古屋特急ニュースター号
名古屋特急ニュースター号は大阪バス、名古屋バスが共同運行する高速バスです。
所要時間は次の通りです。
大阪駅~名古屋駅:約2時間50分~2時間55分
このほかにも高速京田辺、東大阪長田駅にも停車します。
USJや天王寺駅、名古屋栄、愛知県庁前にも停車する便があります。
運行本数は1日12往復です。
運賃は次の通りで、乗車日により異なります。
大阪駅~名古屋駅:2,800円~4,000円
早割とネット割で2,200円~3,920円まで安くなります。
近鉄名阪特急から乗り換えできる列車
大阪難波駅
南海空港特急「ラピート」、南海特急「サザン」、南海特急「こうや」、南海特急「りんかん」、南海特急「泉北ライナー」、南海空港急行
大阪上本町駅、鶴橋駅
大和八木駅
近鉄京都、橿原線特急、近鉄京都線、橿原線急行、近鉄大阪線急行
名張駅
津駅
名古屋駅
JR新幹線、特急、快速等乗り換え
空港特急「ミュースカイ」、名鉄名古屋本線特急、名鉄常滑・空港線特急、名鉄河和・知多新線特急(内海河和発着)
近鉄名阪特急とは
名阪特急は近鉄特急の中では最も古く1947年(昭和22年)に上本町~名古屋間で運転を開始しました。
当時は大阪線と名古屋線の線論幅が異なっていたことから伊勢中川駅での乗り換えが必要でした。
1959年(昭和34年)には名古屋線の軌間を大阪線と合わせる工事が完了して、新製したビスタカー10100系による上本町~名古屋間の直通運転が開始されました。
1961年(昭和36年)3月には中川連絡線が開通して、伊勢中川駅でのスイッチバックがなくなりスピードアップします。
しかし1964年(昭和39年)に東海道新幹線が開通すると、特に停車駅の少ない甲特急の乗客が少なくなります。
停車駅の多い乙特急は順調に利用が増加していくのに対し、甲特急はビスタカーも運行をやめ2両編成が主体となります。
1970年(昭和45年)には難波線が開業し、名阪特急も難波まで乗り入れを開始します。
1976年(昭和51年)ごろになると、国鉄の毎年のように行われる運賃・料金値上げにより、新幹線の利用が減り近鉄特急の利用が増加します。
2両編成だった特急も3両から4両、最大は8両編成まで増結がされました。
1988年(昭和63年)には専用車として「アーバンライナー」21000系が導入され、さらに利用が増加します。
アーバンライナーは好調で、すべての停車駅の少ない特急に導入され、一部の列車は8両編成に増結されます。
そして2020年(令和2年)には停車駅の少ない特急に「ひのとり」80000系が導入されました。
近鉄名阪特急の関連商品
まとめ
・近鉄名阪特急は大阪難波、大阪上本町と名古屋を結ぶ特急列車
・鶴橋~名古屋間で津のみに停車の速達型(甲特急)と主要駅停車型(乙特急)の2種類がある
・速達型はひのとりで運行、停車型は主にアーバンライナーで運行
最後までお読みいただきありがとうございました。