(2021年11月11日作成)
金沢から七尾・和倉温泉に向かう観光特急「花嫁のれん」を解説します。
金沢と能登を結ぶにふさわしい装飾と工夫が満載です。
この記事はでは観光特急「花嫁のれん」の車両や車内、座席や設備、お得なきっぷなど解説していきます。
特急花嫁のれんの車両と編成
特急花嫁のれんの使用車両
特急花嫁のれんはJR西日本所有のキハ48形で運行しています。
キハ48形は1979年(昭和54年)から運行を開始しました。
キハ48系は特急用車両ではなく、普通列車として活躍しました。
特急花嫁のれんに使用されているキハ48形は小浜線や山陰本線、山口線、芸備線などで運行されたのち、2015年(平成27年)に改造されました。
デザインコンセプトは「和と美のおもてなし」を基にしており、デザイン担当は近鉄の「しまかぜ」をデザインしたデザイナー陣が担当しました。

車両は深紅がベースです。
全面には菊の模様が描かれています。

1号車の側面です。
連結部付近は金色に花の模様が描かれて、見入ってしまう美しさです。

2号車の側面です。
中央には花嫁のれんのマークが描かれています。

連結部を中心にとってみました。
額縁に入りそうな美しさです。

特急花嫁のれんの編成、座席表
特急「花嫁のれん」は2両編成で運行します。
和倉温泉方が1号車、金沢方が2号車です。
座席の配置は次の通りです。

(JR西日本 HPより)
特急花嫁のれんの車内
1号車
和倉温泉方面が1号車です。
1号車は半個室タイプの座席が8区画あります。
廊下からは格子で仕切られ、各座席はプライベート感があります。
それぞれの区画はテーマに沿った装飾が施されています。

ここからは、各区画を和倉温泉方から紹介します。
青の間
1号車の最も和倉温泉よりにある「青の間」です。

格子で仕切られていて、プライベート感があります。
座席も幅広でゆったりしています。
座席の上の飾りは流水の菊の花びらを組み合わせた模様です。
この模様は「菊水文様」といい「不老不死」「延命長寿」「無病息災」「邪気はら」の縁起物として親しまれています。(JR西日本 HPより)

錦秋の間
次の「錦秋の間」は向かい合わせの2座席の区画です。

「錦秋の間」も格子で仕切られ、プライベート感があります。
2人用のスペースですが座席横にテーブルがあるので、かなり広く感じます。
2人用ではかなりおすすめの座席です。
座席上の装飾は、竜田川文様が描かれています。
竜田川文様は紅葉が川に流れていく様を意匠化しており、様々な草木が美しく配置され、錦のような美しさです。(JR西日本 HPより)

笹の間
「笹の間」は3人掛けです。

両袖には笹の模様が描かれています。
この吉祥文様の「笹」は「威勢がよい」「節度が良い」「不変である」とされる縁起物の一つです。
「梅」もいっしょに描かれ、再々縁起の良い旅を送ってほしいという願いが込められた空間です。
(JR西日本 HPより)

菊の間
「菊の間」は2人用のスペースです。

「錦秋の間」ほどのゆったりした座席ではありませんが、座り心地の良い座席です。
この座席は45度~90度回転します。
両袖には「菊」の模様が描かれています。
「菊」は「不老不死」「延命長寿」の象徴とされ、縁起が良く高貴な花と言われています。

鉄線の間
「鉄線の間」も2人用のスペースです。
鉄線の間は座席に工夫が凝らされています。

この座席も45度~90度で回転します。
格子は控えめで、他のスペースと比べるとオープンな雰囲気です。
両袖には青い鉄線と花で華やかな模様が描かれています。
「鉄線」は蔓が鉄のよう硬く強いことから、結びつきの縁起物として花嫁衣装などに使われてきました。
列車の旅で人と人の結びつきを強く、鮮やかな花が咲く空間演出としました。(JR西日本 HPより)

扇絵の間
「扇絵の間」は3人用のスペースです。

斜めの空間をうまく活用して、ゆったりしたスペースに仕上がっています。
この座席も回転するので、景色を眺めたり気分転換などに利用できます。
両袖には色鮮やかな扇の絵が描かれています。
広がった形から「末広がり」を表現する「扇」は吉祥も尿の一つです。
この「扇絵の間」を訪れる人々の「家紋繁栄」や「商売繁盛」を願う空間としました・(JR西日本 HPより)

撫子の間
「撫子の間」は4人用のスペースです。

座席の回転はしませんが、席の幅が広くてゆったりできます。
また、格子で仕切られ個室感があります。
両袖には色鮮やかな撫子が描かれています。
「撫子」には、清楚で可憐なイメージがあり、鎌倉時代から調度や衣服に使われてきました。
吉祥文様の笹も描かれていて、めでたく、可愛らしさを感じされる空間となっています。(JR西日本 HPより)

桜梅の間
「桜梅の間」は4人用のスペースです。

座席の回転はしませんが、席の幅が広くてゆったりできます。
桜梅の間も格子で仕切られ個室感があります。
両袖には桜尾梅がふんだんにちりばめられて描かれています。
日本人になじみの深い「桜」と「梅」で「和と美のおもてなし」を表現しています。
「花嫁のれん」の象徴的な部屋として、春を感じられる空間となっています。(JR西日本 HPより)

2号車
かなざわかたの車両が2号車です。
2号車は4人席、2人席とカウンター席があります。
グループから一人旅まで対応できます。
車内を運転席側に向けてみた写真です。

カウンター席です。
カウンター席は通路に向かって45度~90度で回転します。

4人掛け席や2人掛け席はリクライニングや回転はしません。

運転席側には4人席に加えて2人席もあります。

お手洗い、トイレ等
多目的お手洗い、多目的トイレは2号車にあります。
入り口から紅葉など装飾が施されています。

中もグレーを基調とした装飾がされています。
便座はウォシュレット完備です。
ベビーベッドやベビーキープも設置されています。

洗面台は隣にあります。

特急花嫁のれんのWiFiなど
特急「花嫁のれん」にはWiFiの設備はありません。
コンセントもありませんので、車内でネットを使って仕事をするなどを考えている場合は自前のネット環境が必要です。
特急花嫁のれんのおすすめ座席
特急「花嫁のれん」は絶景のある区間は通りません。
なので居心地の良い座席を確保するのが良いでしょう。
2人なら1号車の「錦秋の間」(2A,2B)がおすすめです。
座席も広く個室感がありくつろげます
確保できなければ「菊の間」(4A、4B)、「鉄線の間」(5A、5B)もやや個室感がありねらい目です。
4人なら「青の間」(1A~1D)、「撫子の間」(7A~7D)、「桜梅の間」(8A~8D)が広めの座席で個室感もあります。
4人掛けはこのほかは2号車しかないので、この席が確保されなければ2号車を指定することになります。
1人ならばカウンター席がゆっくりできます。
花嫁のれんは満席の列車が多いので、4人掛けの席を指定するとグループの中で一人座ることになりいごこちが悪い可能性があります。
特急花嫁のれんの車内販売や食事など
特急花嫁のれんの車内販売
特急「花嫁のれん」では車内販売が営業しています。
1号車のカウンターにて販売しています。
始発駅発車10分後くらいにアナウンスがあります。
現金のみの取り扱いです。
車内販売メニューは次の通りです。
(価格はすべて税込み)
- ブレンドコーヒー:300円
- 加賀棒茶500ml(COLD):140円
- 輪島塩柚子ドリンク「NANATSU」:250円
- 輪島サイダー 里海:250円
- 宗玄純米吟醸1号:550円
- 竹葉純米酒い号:550円
- 加賀百万石ビール(コシヒカリエール、ペールエール):各400円
- 能登牛ビーフジャーキー:540円
- たら子の唐墨スライス:650円
- ミニミニホタルイカ燻製:650円
- 金箔入り縁結び(能登塩):460円
- 塩ようかん(小豆):160円
- 能登のいも(プレーン):180円
その他にも花嫁のれんグッズ、車内限定グッズなども販売しています。

カウンターの前には、加賀や能登の工芸品が飾られています。

特急花嫁のれんでは軽食やスイーツなども楽しめる
特急花嫁のれんでは、乗車の4日前までに予約すれば軽食やスイーツ、日本酒とおつまみセットなどが楽しめます。
乗車列車によって食事、スイーツの提供内容が異なります。
- 花嫁のれん1号・3号:スイーツセット:2,500円(税込)
- 花嫁のれん2号:和軽食セット:2,000円(税込)
- 花嫁のれん4号:ほろ酔いセット:2,000円(税込)
いずれも事前予約が必要です。
乗車日の1か月前の10時から4日前までにみどりの窓口、みどりの券売機プラス、電話予約などで購入できます。
花嫁のれん1号、3号 スイーツセット
世界的に活躍するパティシエ辻口博啓氏の「ル ミュゼ ド アッシュ」オリジナルセレクトスイーツ(生菓子と焼菓子のセット)。コーヒー又は加賀棒茶つき
花嫁のれん2号:和軽食セット
天保元年(1830年)創業 金沢の老舗料亭「大友楼」が手掛けた加賀郷土料理や旬の食材を使用し、老舗料亭ならではの味を織り交ぜたメニューです。加賀棒茶つき。
花嫁のれん4号:ほろよいセット
天保元年(1830年)創業 金沢の老舗料亭「大友楼」が老舗料亭ならではの和惣菜を手掛けました。能登の地酒と加賀棒茶のセットです。
特急花嫁のれんの停車駅、所要時間
特急花嫁のれんは下記の駅に停車します。
金沢=羽咋=七尾=和倉温泉
所要時間は下記の通りです。
金沢 | |
羽咋 | 38分~53分 |
七尾 | 1時間05分~1時間21分 |
和倉温泉 | 1時間13分~1時間27分 |
運行時刻は次の通りです。
主に金土日に運行します。
(運行情報に注意してください)
金沢発 | 羽咋発 | 七尾発 | 和倉温泉着 | |
花嫁のれん1号 | 10:15 | 11:08 | 11:36 | 11:42 |
花嫁のれん3号 | 14:15 | 15:02 | 15:25 | 15:31 |
和倉温泉発 | 七尾発 | 羽咋発 | 金沢着 | |
花嫁のれん2号 | 12:08 | 12:16 | 12:43 | 13:21 |
花嫁のれん4号 | 16:30 | 16:36 | 17:01 | 17:54 |
特急花嫁のれんの運賃、料金等
通常の運賃、料金は次の通りです。
全区間指定席で乗車した時の価格を示しています。
花嫁のれんは全車指定席です。
乗車には指定席特急券が必要です。
金沢 | 大阪(金沢乗換) | 東京(金沢乗換) | |
羽咋 | 2,220円 | 8,920円 | 15,900円 |
七尾 | 2,620円 | 9,360円 | 16,320円 |
和倉温泉 | 2,800円 | 9,360円 | 16,320円 |
(全列車指定席利用、新幹線・特急料金は通常期)
名古屋、大阪からの特急料金は、金沢駅で改札口を出ずに当日中に次の特急列車に乗り継ぐ場合は(サンダーバード、しらさぎ等⇔能登かがり火、花嫁のれん)通しの特急料金で計算されます。
新幹線からの乗り継ぎ割引についても乗り換え列車に適用されます。
花嫁のれんにお得に安く乗るための割引きっぷ
特急花嫁のれんに利用できる割引きっぷには次のものがあります
・WEB早得1
・eきっぷ
・e早得1
・e早得
・北陸乗り放題きっぷ
・(おとなび会員限定)おとなびWEB早得
・(おとなび会員限定)おとなび首都圏往復フリーきっぷ
WEB早得1
「WEB早得1」はJR西日本のインターネット予約サイト「e5489」で発売されている指定席特急券、乗車券です。
乗車日の1か月前から1日前までの発売です。
おとなの価格は下記の通りです。
京都・大阪方面(通年同一値段)
大阪 | 京都 | |
七尾 | 8,010円 | 7,220円 |
和倉温泉 | 8,010円 | 7,220円 |
東京方面(通常期の価格)
東京 | 大宮 | |
七尾 | 14,510円 | 13,730円 |
和倉温泉 | 14,510円 | 14,020円 |
詳しくはJR西日本の次のページをご覧ください。
eきっぷ
「eきっぷ」、「e早得1」はJR西日本のインターネット予約サイト「e5489」で発売されている指定席特急券です。
eきっぷは特急券ですので別途乗車券(またはICOCAなどのICカード)が必要です。
「eきっぷ」、「e早得1」は「e5489」の登録と「J-WESTカード」で決済することで購入できます。
「eきっぷ」は乗車当日でも購入が可能です。
・eきっぷ
「eきっぷ」はJR西日本が販売している特急券です。単独で購入することができ、きっぷ受け取り前であれば何度でも変更可能です。
有効期間は1日間で、当日購入も可能ですが、「e5489」の登録と「J-WESTカード」での決済が必要です。
下記がeきっぷのおとなひとりの発売価格です。(乗車券運賃を含めた指定席の価格。)
発着駅 | 金沢 | 大阪 |
羽咋 | 1,690円 | 8,390円 |
七尾 | 2,090円 | 8,830円 |
和倉温泉 | 2,270円 | 8,830円 |
e早得1
有効期間は1日間で、乗車日の1日前まで購入できます。
「e5489」の登録と「J-WESTカード」での決済が必要です。
下記がeきっぷのおとなひとりの発売価格です。(乗車券運賃を含めた指定席の価格。)
発着駅 | 東京 | 大宮 |
七尾 | 13,910円 | 13,150円 |
和倉温泉 | 13,910円 | 13,430円 |
北陸乗り放題きっぷ
北陸乗り放題きっぷはJR西日本が発売するフリータイプの割引きっぷです。
フリーエリアまでの特急の普通車指定席もしくはグリーン車とフリーエリア内は特急や新幹線を含む普通車自由席に乗車できます。
2名以上が同一行程で利用する場合に発売されます。
有効期間は3日間です。
JR西日本ネット予約「e5489」限定で発売されます。
大阪、京都から金沢より先に行く場合にお得になる場合があります。
フリーエリアは次の通りです。

値段は次の通りです
普通車用 | グリーン車用 | |
京都市内 | 14,540円 | 16,540円 |
大阪市内 | 15,850円 | 17,850円 |
神戸市内 | 16,950円 | 18,950円 |
こども用(すべての区間で同じ値段) | 3,000円 | 5,000円 |
(おとなび会員限定)おとなびWEB早得
おとなびWEB早得はJR西日本が発売する割引きっぷです。
「おとなび会員」(登録は無料で満50歳以上の方が入会できます)が購入できます。
「おとなび簡単ネット」で登録してから、「おとなび」で購入します。
乗車日の7日前まで発売します。
主な区間の値段は次の通りです
大阪市内 | |
七尾・和倉温泉 | 6,680円 |
特急花嫁のれんと競合する交通機関との比較
特急能登かがり火と競合する交通機関はありません。
花嫁のれんにも乗れる宿泊も一緒ならさらにお得なJRセットプラン
特急花嫁のれんから乗り換えできる列車
金沢駅
北陸新幹線「かがやき」、「はくたか」、「つるぎ」
特急「サンダーバード」、特急「しらさぎ」、特急「ダイナスター」
七尾駅、和倉温泉駅
観光列車「のと里山里海」
特急花嫁のれんとは
特急「花嫁のれん」は金沢~和倉温泉間を結ぶ列車です
2015年(平成27年)に誕生しました。
北陸デスティネーションキャンペーンに合わせて10月から運行開始されました。
北陸新幹線金沢開業に合わせて、北陸を代表とする観光列車とするため、列車内では伝統工芸品の展示や北陸ならではの食の提供やサービスが行われています。
「花嫁のれん」の愛称は、娘の幸せを願って嫁ぎ先に渡される嫁入り道具の一つです。
婚礼当日に花嫁は嫁ぎ際に提げられた花嫁のれんをくぐり嫁入りします。
石川県を中心とした旧加賀藩の伝統文化です。
また、「花嫁のれん」に込められた女性の幸せを願う思いにちなんで、利用する方々に幸せになってほしいとの思いが込められています。
特急花嫁のれんの関連商品
まとめ
・特急花嫁のれんは金沢と七尾、和倉温泉を結ぶ特急特急
・花嫁のれん専用のキハ48系の2両編成で運行している
・車両や車内が加賀ゆかりの装飾、工芸品で旅情を掻き立てる
・列車ごとに軽食やスイーツセットが楽しめる
・売店でも名産品やお土産、グッズが購入できる
最後までお読みいただきありがとうございました。